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ワイン・ライフ

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第1回:
ワイン好きの建築家になってしまった訳


いつの間にかワイン好きの建築家というレッテルを貼られてしまった。確かに建築家仲間が集まると止めどなくワインが出てくる事務所である、それも無理はないのかもしれない。最近ではイタリアワインに関するインターネットサイト「イタリアワインセラー(http://www.italia.co.jp)」も運営したりして、建築雑誌のみならず、図々しくもワイン関係雑誌の紙面でイタリアワインを語っちゃったりして、ちょっと調子に乗りすぎの感もあるなあ、と自分では分かっているつもりなのだけど、やっぱりやめられないのは性格なのだろうか。 ワイン好きといっても実際のところほぼ100パーセントイタリアワイン党である。素人であるからわざわざ勉強してワインを楽しもうなんて気はさらさらない。生活と仕事の上で培ってきた経験が僕のすべてであると言っていい。

僕のイタリアワインとの付合いはかれこれ15年くらいになるだろうか。六本木に古いアントニオとキャンティくらいしかイタリアンがなく、巷では薦被りのキャンティがイタリアワインの代表だった頃だ。
当時は建築留学でイタリアに行きたくて、イタリアに関するものは片っ端からカジッていた。イタリアワインも売ってるものは端から買って飲んだ。運良くローマの事務所に研修で置いてもらえることになり、91年から2年間、あこがれのイタリアで建築の修行に行くことになった.....はずなのに、気持ちのゆとりができた2年目は、ほぼ毎週末ワイン巡りをしていた。
イタリアはご存じように、世界的な観光国と言っていいほど、歴史的財産や、文化的財産の豊かな国である。イタリアを旅したことのある人なら誰でも驚くことだが、どんな小さな町を訪れても必ず感動と発見がある。そんなイタリアを旅するとき、僕の第一の目的はもちろん建築を見ること、特に建築単体というよりはむしろ、町そのものを体験することである。そのために僕は、できるだけ早い時間に町に入り、気に入った広場を見つけて、広場に面したバールやカフェの席に座って広場を行き来する人々を眺めながら時間を過ごすようにしていた。もちろんプロセッコや白ワインを飲みながらである。そうこうしているうちに店の人や暇そうにしている町の人と話し始め、その夜の食事のこと、町で一番のワイン好きのこと、あるいは汚職で腐敗した町の政治家の話や地元のサッカーチームの話まで聞かせてくれる。こうして僕はその町への入り口を探すようにしていた。僕にとって建築とワインは切っても切り離せない記憶としてこうして刻み込まれていったのかもしれない。
帰国後、建築家としての仕事をしながらも、シェフやソムリエ、インポーターの方々とのつきあいが増え、気がついたらワインに関連した住宅や店舗の設計をやっていたという具合なのである。 まあ、ワインそのものを仕事にするよりは遙かに自分には合っていると思うから、文頭のレッテルもまんざら悪い気はしていないのであるけれど。
僕のワインとのつき合いの始まりはだいたいそんなところなのだが、我が国におけるここ数年来のワインブームは、イタリアとワインというキーワードを越えて多くのワイン愛好家とつき合う契機となった。僕の周りには、家を建てて自宅にビルトインのセラーをつくってしまうほどのお金持ちはそれほど多くはないから、皆、購入したワインをどうやって楽しむか、どうやって保存するか、一様に悩みを抱えている。そういう人々の単純で素朴な希望を何とか実現することが、今の僕の目標でもある。
今やワインは一部の愛好家のものではなくなっている。ホームセラーが電気の量販店で特売される時代にまでなった。これはものすごい変化である。いずれはハウスメーカーが「ワインセラー付き住宅」なんてものを販売することになる日も近い!? このコーナーの話を持ちかけられたとき、僕は自分の興味もあって、ライフスタイルからみた「ワインのある暮らし」をまじめに考えてみるチャンスになると思った。自分たちで工夫して、ワインを楽しめる家作りを考える。ファーストフードから脱却して豊かな食生活を通して家族や人生を考える。そんな楽しい目標を持ってこのコーナーを運営していきたいと思っている。

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