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手塚貴晴+手塚由比
海をひたすら眺める優雅な生活を夢見た家。メガホン型の住宅は一種の双眼鏡。近くの俗世の雑踏を切り取り、遥かかなたの水平線を手元に引き寄せます。始めて敷地を訪れた我々を待っていたのは、崖の上から垂らされた一本のロープ。垂直に登ること7メートル。「失われた大地」ギアナ高地よろしく、一切遮るものも無く、前にはひたすら太平洋が広がっていました。
部屋は巨大なワンルーム。海への景色を遮ぎる壁は一枚もありません。部屋を仕切るパーティションを開けば、一つの巨大空間に早変わり。全ての部屋が裏庭から太平洋へと抜ける巨大な筒になってしまいます。建物の何処から見ても、長い水平線が広がっています。ホームパーティーでホストと客の会話が途切れることが無いように、キッチンでさえ囲い込まず、大きな部屋の片隅に配置されたカウンターとしました。
6メートル×9メートルの巨大な窓面には、色々と仕掛けが準備されました。鉄骨は海沿いの崖特有の風速40メートルを超える風に楽楽と耐えます。外には電動のテントが備え付けられていて、広げれば内部は快適な日影に包み込まれます。一階部分の木サッシは6枚引きで、端から端まで一気に開け放てば、部屋は海と一体になってしまいます。
敢えて窓の真ん中に据えられているのは手塚建築研究所設計の小型薪ストーブ。
350×350×350の小型ながら、これ一つでこの大きな住宅全体を暖めるだけの火力を持っています。窓を熱から保護する為、ランドセルのような反射版を取り付けました。この反射版は夏の間取り外せるのでじゃまになりません。
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